網戸をぴったり閉めたはずなのに、なぜか左側の壁との間に数ミリの隙間が空いている。そこから小さな虫が侵入してきて、網戸の意味がないじゃないか…。そんな経験はありませんか。実は、この「網戸の左側の隙間」は、多くのご家庭で発生しうる、非常に一般的なトラブルです。そして、その原因は一つではなく、いくつかの要因が複合的に絡み合っていることがほとんどです。まず、最も多く見られる原因が、「戸車(とぐるま)の高さが合っていない」ことです。戸車とは、網戸の下部についている小さな車輪のことで、この部品がレールの上を転がることで網戸はスムーズに動きます。多くの網戸の戸車には、ドライバーで高さを調整できる機能がついています。長年の使用による振動や、網の張り替え時の力のかかり具合などで、この戸車の高さが左右でずれてしまうと、網戸全体が傾き、片側に隙間が生じてしまうのです。特に、日本の住宅では、網戸を閉めた時に中央で合わさる「召し合わせ」が右側に来ることが多いため、結果として左側の壁際に隙間ができやすくなります。次に考えられるのが、「外れ止め(はずれどめ)の設定不良」です。外れ止めは、網戸の上部についている落下防止用の部品ですが、これが適切な位置にないと、網戸がガタつき、傾きの原因となります。また、「フレーム自体の歪み」も原因の一つです。アルミ製のフレームは、経年劣化や強い衝撃によって、目には見えないレベルで歪んでしまうことがあります。こうなると、いくら戸車を調整しても、隙間を完全に埋めることは難しくなります。さらに、網戸が走る「レールの汚れ」も見逃せません。レールに砂やホコリが溜まっていると、戸車が正常に機能せず、網戸が正しく収まらなくなることもあります。網戸の左側に隙間を見つけたら、まずはパニックにならず、これらの原因のどれに当てはまるのかを冷静に観察すること。それが、適切な隙間対策への第一歩となるのです。