網戸の最も基本的な役割は、不快な虫の侵入を防ぐことです。その防虫性能を決定づけるのが、網目の細かさ、すなわち「メッシュ」という指標です。メッシュとは、1インチ、約2.54センチメートル四方の中に、縦横それぞれ何本の糸が通っているかを示す単位で、この数字が大きければ大きいほど網目が細かくなり、より小さな虫の侵入を防ぐことができます。日本の多くの家庭で一般的に使用されている網戸は18メッシュや20メッシュのものです。これでも蚊やハエといった比較的大きな虫は十分に防ぐことができますが、夏場に悩まされるコバエや、地域によってはヌカカといった非常に小さな虫は、この網目を通り抜けてしまう可能性があります。もし、そうした小さな虫の侵入にまで対策をしたいのであれば、24メッシュ以上の網戸を選ぶのが効果的です。最近では30メッシュや48メッシュといった、さらに網目の細かい製品も登場しており、これらはより完璧に近い防虫効果を期待できます。しかし、ここで考慮しなければならないのが、防虫性能と風通しのトレードオフの関係です。当然のことながら、網目を細かくすればするほど、空気の通り道も狭くなるため、風通しは悪くなる傾向にあります。特に夏の夜、自然の風を取り入れて涼しく過ごしたいと考えている方にとっては、この点は非常に重要です。網目が細かすぎると、せっかくの心地よい風が遮られてしまい、かえって室内が蒸し暑く感じられるかもしれません。また、網目が細かいほどホコリや花粉、小さなゴミなどが網に付着しやすくなり、目詰まりを起こしやすくなるというデメリットもあります。そのため、網戸を選ぶ際には、ただ単にメッシュ数が大きいものを選べば良いというわけではありません。お住まいの地域にどのような虫が多いのか、風通しと防虫性能のどちらをより重視するのか、そして掃除の手間をどれだけ許容できるのか、といった要素を総合的に判断し、自宅の環境とライフスタイルに最適なメッシュバランスを見つけ出すことが、快適な夏を過ごすための賢い選択と言えるでしょう。