マンションに住んでいる方にとってクロス張替えは避けて通れない課題の1つです。分譲マンションであれば自身の資産価値を維持するためのメンテナンスとして賃貸マンションであれば退去時の原状回復トラブルを避けるための知識として正しい理解が求められます。賃貸物件の場合国土交通省のガイドラインでは壁紙の耐用年数は6年とされています。つまり6年以上住み続けた場合故意や過失による損傷がなければクロス張替えの費用の大部分はオーナー側の負担となるのが一般的です。しかしタバコのヤニ汚れやペットによる傷結露を放置したことによるカビなどは善管注意義務違反として入居者の負担になる可能性が高いため日頃からの注意が必要です。実際のマンションでのクロス張替え事例を紹介しましょう。築15年の中古マンションを購入された30代のご夫婦は入居前にすべての部屋のクロス張替えを行いました。以前の住居者が喫煙者だったため目に見える汚れだけでなく壁紙の裏側に染み付いた匂いを除去することが目的でした。この工事では単にクロスを貼り替えるだけでなく下地に消臭効果のあるシーラーを塗布することで完全に生活臭を断つことに成功しました。またマンション特有の悩みである梁の多さを逆手に取り梁の部分だけを木目調のクロスで巻くことであえて構造をデザインとして見せる工夫を施しました。これにより無機質だった空間が温かみのあるカフェのような雰囲気に生まれ変わりました。分譲マンションの全面張替えを行う場合70平方メートル程度の3LDKで総額は30万円から50万円程度が目安となります。一軒家に比べて天井高が一定で作業効率が良いとされるマンションですが搬入時にエレベーターの養生が必要だったり共用部分の使用に制限があったりと特有の手間が発生することもあります。また近隣への騒音配慮として工事の数日前には両隣と上下の住戸へ挨拶を済ませておくのがマナーです。マンションライフをより豊かにするためには管理組合のルールを確認しつつ最適なタイミングでプロの技術を導入することが大切です。クロス張替えは物理的な美しさを取り戻すだけでなく前住居者の気配をリセットし自分たちの新しい生活をスタートさせるための大切な儀式でもあります。